有事のための平時

今日は東京都水道局の経営問題研究会の傍聴をしてきました。
NPOの理事長さんが先生をしているので。


東京の水道局が何をやっているか全く知らなかったけど、驚くほど様々なことをしているし、民間人の意見を取り入れようとしていることがわかりました。
その中で気になった点をめもめも。


国際化への対応。
東京都水道局は、民間企業と連携して外国の水道事業にも乗り出している。
東京都水道局の「おいしく安全な水」をつくる技術を途上国に広めるため。
民間企業の海外進出がさかんになってきたけれども、行った先の国の水が不衛生だと結局なにもできない。
そのため水道事業を支援することによって、日本企業も助かるし、その国のライフラインの整備にもつながる。
ただ、ハードだけ持ち込んでも維持はできないので、システムや水道への認識といった知的支援もしていかなくてはならない。
その点、今やっと東京の水道水はおいしくて安全だということを都内の小学生に教育し始めたので、海外はこれからになりそうとのこと。


応急給水について。
去年の震災を踏まえ、水道パイプの補強や応急給水の対応がさかんに行われている。
なかでも応急給水は、行政同士の連携ではなく、地元自治会や消防団との連携が欠かせない。
たとえば災害時に、行政職員が現場に行くことができなくても、地元で応急給水の場所ややり方を知っている人がいれば対応できる。
特に消防団はそれを知っていればすぐさま鎮火することができる。


情報の周知について。
応急給水にしても水道水の安全性にしても、都民は情報を得られていない。
それは、いきなり水道局が都民1200万人に広報しようとするから。
自治体の消防団や水道局OBの団体「水守り隊」を結成し、
水道局→水守り隊→都民
という情報の流れをつくる。
そうすれば技術や知識を持っているOBたちに説明すれば、そのOBたちは地元で広報活動をしてくれる。
行政→地域の専門家→都民
という自然な流れができる。
行政と都民の間に、どちらにも協力的な団体を挟むべき。


震災の時に、行政職員はすべての現場に足を運ぶことはできない。
そこで自衛隊が動いたわけだけれども、自衛隊は外部からくるから、どこに給水車をおけば地元民が嬉しいかわからない。
それは当たり前だし仕方のないこと。
そこで、地元の水道に詳しい人がいれば、一番うれしい場所がわかる。
一番うれしい利用の仕方がわかる、というわけ。


この情報の周知は基礎自治体の政策にも言える。
自治体の政策は、困ったことが起きて行政サービスが必要なときにしか、情報を得ようとしない。
だけど、有事のときに情報を集めるためには、平時から行政と住民を結び付ける役割を果たすものが必要。
つまり、有事を特別なものとして扱うのではなく、有事は平時の中にあると考えるべき。
日ごろからご近所仲良くしていれば、いざというとき助け合えるというのと同じ。
ただ、行政という強固な岩盤にいきなり住民がドリルで穴開けようとしても、どちらも痛い思いをするだけ。
だから岩盤の上に豊かな土壌が必要。
そしてそれを育てる、というのが前回のお話。


長池での実践は、まさにそれ。
住民は何か困ったことがあると、館長に相談するんだって。
そしたら館長は目利きの市役所職員がいるから、そこに聞いて根回ししておく。
そして住民に、市役所のここに聞けばいいですよって教えてあげる。
そういう、近寄りがたい行政と住民をつないであげる人がいれば、スムーズにいく。


そう考えたら、町内会と同じ役割をになっている。
じゃあ町内会とは何が違うのか。
それは自在に組織の形ややり方を変えることができるということ。
もちろん町内会だって自在にやればいいんだけど、今の慣習だとそうはいかない。
もちろんNPOの中にだって、固定観念にしばられて自在にやれないNPOだってある。
だから行政が協働する団体を探すときは、それができる熱意のある団体を選ばなければならない。
NPOっていう肩書だからって、だれにでも頼んじゃいけない、っていうのも前回のお話。




そして私は今、それができる行政職員になるべく育てていただいているわけです。
そして後々、そういうNPOを育てていきたいのです。
そう考えると、やっぱりある程度の権限を持てる立場になれなければと思う。
正直、出世意欲はない。
子育てだってしたいし、もともと競争意識が低いから、無理のない程度にやりたい。
でも、これからの日本を担う若者として、一生懸命気にかけて育てようとしてくれているから、期待にこたえたい。
そして理事長さんがしていることは、私が一番やりたかった、住民との協働の話。
答えが見えているのに、手を出さないなんてもったいない。
やっぱり自分なりに思考錯誤しながら、自分の手で自分の住む町で実現したいと思う。


そのためには、まずは新聞を読むこと、だそうです。。。
朝日or読売、そして日経の、計2紙。
それからNHKのニュース番組。
それを10年間続けて初めて、世の中の流れが分かるようになるそうな。
正直、今新聞は全く読んでないし、ネットのニュースすら見てない。
一人暮らししたら新聞なんてとらないだろうし・・・


でもそれが、行政マンの悪いところなんだって。
民間企業なら、商品を売るにはまず客のことを知ろうとする。
行政も同じで、まず世の中のこと、客となる住民のことを知ろうとしなきゃだめ。
たしかにその通りだよね。
相手のことを知らないと何もできないじゃん。
でもその視点がぽっかり抜けてしまうのは、やっぱりモノを売らなきゃ生き残れないという感覚がないからだよね。




まず世の中を知るための努力をしよう。
ま、大学のレポート&卒論発表が終わってからね。
これが終わらないことには何も始まらない。
卒業できないとかシャレにならないからねー
がんばろー。。。